相手への興味を形にする

こうして「無」の状態で相手の言葉を受け取ると、「湧いてくる質問」が自然に生まれてきます。

ただ、ここでもう1つ重要なポイントがあります。

それが、“矢印”を意識的に動かすということです。

自分がどう見えるか。
うまく返せているか。
変に思われないか。

こんなふうに“自分に向く矢印”が強いほど、「湧いてくる質問」は出てきません。

なぜなら、矢印が自分に向いている間、あなたは相手を見ていないからです。

一方、「この人は今、何を大事にして話しているんだろう?」と矢印を相手へ向けた瞬間、質問は自然に生まれます。

それは、矢印が相手に向いていると、相手の表情、声のトーン、言葉の選び方、こうした細かな変化が目に入ってくるからです。

そして、その変化に気づいた瞬間、

「ん? 今、何かあったな」
「ここに、この人の本音があるかもしれない」

という疑問が自然に湧いてくるのです。

矢印を相手に向け直して観察する

ここで私自身のエピソードをご紹介します。

ある日、仕事の交流会に参加した時のことです。

隣に座った方が、自分の仕事について話してくれていました。

「今、地域の子どもたち向けの教育事業をやっているんです」

初対面ですからやはり、いつもの人見知りの仮面が発動します。

何を聞けばいいんだろう?

変な質問したら失礼かもしれない?

そうやって自分が焦り始めているのがわかりました。この瞬間、矢印は完全に自分に向いていました。

でもそこで、意識的に矢印を相手に向け直しました。

「この人は今、どこに一番熱を込めているんだろう?」

そう心の中で問いかけながら、相手の姿をよーく観察することにしました。