※本稿は、豊留菜瑞『人見知りの仮面』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
聞きたいことがあるのに質問が思い浮かばない
「何か質問はありますか?」
とあるセミナーの最後で、講師がそう言った瞬間、私は凍りつきました。
周りの人たちは次々と手を挙げています。
「○○について、もう少し詳しく教えてください」
「△△の事例はありますか?」
私も聞きたいことは、たくさんあるはずなのに、具体的な質問が何も思い浮かばないのです。
頭の中を探しても、探しても、「これを聞いたら変かな」「的外れだったらどうしよう」「レベルの低い質問だと思われないか」と、そんな声ばかりが渦巻いて、結局、何も言えないまま時間は過ぎていく。
気づけば、講師が「では、これで終わりにします」と言っていることがほとんどでした。
仕事の打ち合わせでも同じようなことが起こります。
「菜瑞さんは、どう思いますか?」
そうやって急に話を振られると、頭が真っ白になって、何も出てこない。
「え、えっと……」
気の利いた質問をしなきゃ。
会話を広げなきゃ。
場を盛り上げなきゃ。
でも、そう思えば思うほど、言葉は出てこなくなるのです。
そして結局、「そうですね……勉強になりました」と、当たり障りのない返事をして終わる。
こんなふうにかつての私は、質問が全く出てこない人間でした。
「質問しよう」と思うと質問は出ない
けれど、のちに心理学を学んでわかったことがあります。質問が出てこないのは、“スキル不足”ではなく“矢印の向き”の問題だったということです。
人見知りの人ほど自分の発言に注意が向きすぎてしまいます。
つまり、「質問できない」のではなく、「質問する余白が心に残っていない」だけ。
そして、質問は、スキルとして「習得する」ものではないのです。
ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。
「じゃあ、相手に興味を持って、質問すればいいんだな」と。
しかし、実はここに大きな落とし穴があります。
「質問しよう」と思った瞬間、質問は出なくなるからです。

