※本稿は、橘玲『新・貧乏はお金持ち』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
進む「国民皆社会保険化」
前回記事(「やはり厚生年金は割が悪すぎる…厚労省がひた隠しにする『ねんきん定期便』に極小の字で書かれる不都合な真実」)で、パートの社会保険加入は、厚生労働省から見れば「一石四鳥」の「ステルス増税」だと指摘した。
「国民皆社会保険化」の流れの中で、中小零細法人が社会保険に加入しないままという実態を放置することはできず、年金事務所は所轄の法人に対して社会保険に加入する義務があるという通知書を送ったり、従業員10人以上の事業所には重点的に訪問調査を行なうなどしている。
役員一人のマイクロ法人や、従業員が家族だけの零細法人を、年金事務所が一軒一軒訪問するというのは考えにくいが(そもそもそれだけの人員がいないだろう)、それでも今後は、社会保険加入を前提にマイクロ法人の最適化戦略を考えなくてはならなくなった。
年収を減らすことで社会保険料は抑えられる
マイクロ法人が社会保険に加入すると、個人負担分と会社負担分の両方の保険料を支払わなくてはならないので、きわめて負担が大きい。
社会保険料は、厚生年金と健康保険を合わせて収入の約30%だ。『新・貧乏はお金持ち』では磯野家をモデルに説明したので本稿でもそのまま踏襲するが、マイクロ法人から600万円の役員報酬を受け取っているマスオさんは180万円、役員報酬を300万円に下げても90万円の保険料を(労使合計で)納めることになる。
だが社会保険料は標準報酬月額によって決まるので、マスオさんは役員報酬をさらに引き下げることで保険料負担を軽減できる。
1カ月あたりの厚生年金の保険料の最低額は、東京都の場合、報酬月額9万3000円未満で1万6104円(年額19万3248円)、健康保険料(協会けんぽ)の最低額は、報酬月額6万3000円未満の場合の6716.4円(年額8万597円)だ。
最低額の報酬(月額6万3000円)は年額で75万6000円なので、マスオさんの年収をこれより少なくすれば、社会保険料を会社負担込みで年約27万4000円に抑えられる。



