エンジニアからタクシードライバーまで――2025年、大幅な人員削減が行われたアメリカ。背景にあるのは、急速に進化するAIだ。外資系IT企業のアメリカ本社で働く福原たまねぎさんに過酷な現状を聞いた。
「アメリカのIT企業では、すでにAIを活用することが前提の業務量を割り振られています。手作業では到底、完遂不可能な量とスピードが求められる。これは、AIを使うことが好きでなければ本当に厳しい状況です」
外資系IT企業のアメリカ本社でプロダクト・マネージャーとして働く福原たまねぎさんは、現地の変化をそう語る。きっかけは、2025年夏ごろ。GoogleがGemini 2.5シリーズを、OpenAIがChatGPT-5をリリースした頃だという。
「その前から、語学学習用アプリ『デュオリンゴ』のCEOが、全社メールで『AIファースト』を掲げたというニュースなどが大きな話題になっていました。経営者たちのトップダウンの号令は、『推奨』ではありません。『AIを使うか、死ぬか』というレベルのプレッシャーとして現場に伝わっています」
若手からAIに代替されていく
統計によると、2025年1月~11月におけるアメリカの人員削減数は117万人に上った。これはリーマン・ショック時の2008年(約122万人の削減)に匹敵するレベルの雇用喪失だ(米チャレンジャー・グレイ&クリスマスの12月4日のリポートより)。
特にAIの影響を強く受けているのがITエンジニアだと、福原さんは言う。
「我々が普段扱う言葉、つまり自然言語は、まだAIの出力が不安定なところもあります。しかし、ロジックの構築物であるプログラムの出力は、AIが最も得意とする分野の一つです。これにより、エンジニアは若手から順に仕事が代替されはじめています」
当然、自然言語の処理能力も向上を続けている。福原さんが日常の業務で感じているのは、音声理解の精度だ。

