増田俊也(ますだ・としなり)
1965年、愛知県生まれ。柔道のために北海道大学へ進み、4年生の最後の試合を終えて部を引退し、大学を中退。新聞記者となる。2012年『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で大宅壮一ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞をダブル受賞した。

「七帝柔道」とは、戦前に帝国大学と呼ばれた東大や京大、東北大など全国7つの国立大学が凌ぎを削る、寝技中心の柔道のことである。前著『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で圧倒的な評価を受けた増田俊也さんは、かつて2浪の末に北海道大学の柔道部に入り、人生に対する価値観が変わるほどの濃密な時間を過ごした。本書はその4年間を描いた自伝的小説だ。

「先輩たちの寝技の強さ、そして練習量の多さ……。打ちのめされました。時計の針が動いた瞬間に主将が声を上げ、限界を超える練習がどこまでも続く。そこにあるのは、自分たちの意思で自分たちを律する凄まじい世界だったんです」

(石井伸明=撮影)
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