料理は何を教えてくれるのか。実業家の堀江貴文さんは「料理の本質はレシピ通りに作ることではない。時間や予算、調味料が足りない時に、どうすれば限られたリソースで正解を導き出せるかを鍛えることができる」という――。

※本稿は、堀江貴文『僕が料理をする理由』(オレンジページ)の一部を再編集したものです。

男性がキッチンで朝食を準備する
写真=iStock.com/PrathanChorruangsak
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料理で手際の良い人、悪い人の差

料理をしていると、つくづく「段取り力」の必要性を感じる。

目の前の作業だけでなく、次にやるべきことを考えながら、冷蔵庫から材料を出したり、鍋を火にかけたり、片付けたりする。つまり、ただ手を動かすだけでは料理は回らない。

各工程をどうつなぎ、タイミングをどう読むか――全体をどう俯瞰するかが、料理の質を決める。とくに複数人で料理をすると、手際の良い人と悪い人の差は歴然としている。

「どのタイミングで誰が何をやるか」だけでなく、「誰が何に向いていそうか」「次に必要になる作業は何か」といった視点が求められる。どうでもいい工程に時間をかけていると、あっという間に全体が滞る。

全体を見ながらタスクを振り分けつつ、自分の手も動かす――そのために必要なのが「メタ認知能力」だ。

メタ認知とは、自分自身を客観的に見る力。「今、自分がどう動いているか」「その動きがチーム全体にどう影響しているか」といった視点で、状況を俯瞰する能力でもある。

料理がうまい人は「メタ認知能力」が高い

僕自身、メタ認知能力はかなり高いほうだと思っている。

だから、全体の状況を見て、どこに自分のリソースを投下すべきかが判断できる。でもこれは、生まれつきのセンスではない。

数をこなしながら「全体を常に俯瞰する癖」を意識して身につけてきた感覚だ。この能力は、仕事にもまったく同じように生かすことができる。

「今、自分がやっている作業は、全体の中でどこに位置しているのか」
「自分が遅れると、誰にどんな影響が出るのか」
「先回りしてやっておけば、後工程が楽になることはないか」

こうした意識を持っているかどうかで、チーム全体の生産性はまるで変わってくる。

実際、僕のまわりでも、料理がうまい人、段取りが上手な人は、仕事もできる人が多い。これは偶然ではないと思う。料理という日常の中で、常に状況を俯瞰する癖がついているからだ。