高市政権が直面している現実は厳しい
25年前、私が日米同盟の研究を始めた頃、東京での議論の中心は「日本が段階的に防衛責任を増やすべきかどうか」だった。だが今や、そういった議論が不十分に見えるほど国際情勢は深刻化している。
中国海警局の船がほぼ連日、尖閣諸島周辺を探り、北朝鮮のミサイルが日本上空を飛び越えていく。ロシアは北京と平壌の両方との軍事協力を深めている。それでも日本の対応は相変わらず慎重だ――まだ何十年も猶予があるかのように日本はふるまっている。何かひとつ間違いがあれば、戦争になるかもしれないのに。
高市政権が直面している現実は厳しい。
日本は、アメリカが頼ることのできる安全保障パートナーに変わるか、さもなくば、アメリカの同盟国としての責任を果たさず、地域を支配する中国に対して、何もできない口先だけのパートナーのままでいるかのどちらかだ。厳しい言い方になるが、これは私だけでなく、アメリカの政府関係者や学者が思っていることだろう。
日本は、政治が意図的に避けてきた問題――主権、軍事的プレゼンス、そして本当の同盟の負担分担とは何を意味するのか――に取り組む必要がある。
トランプ時代の同盟不安
最近の中国による日本への経済的圧迫に対するワシントンの消極的な反応は、アメリカの信頼性に関する長年くすぶっていた疑念を鮮明にした。
11月に高市首相が台湾の戦略的重要性を認める発言をした後、北京は日本のSNS全体で組織的な偽情報キャンペーンを展開し、福島産水産物の汚染に関する虚偽の主張を広め、日本製品への非公式な経済制限を課した。
この時、ホワイトハウスは東京を支持する公式声明を一切出さなかったどころか、中国の経済的圧迫を非難するアメリカの高官は一人もいなかったのだ。
意図的な交渉戦術だったのか、あるいは、単なる無関心だったのか。どちらにせよ、この沈黙は憂慮すべきパターンを反映している。
報道によれば、アメリカは、日本という同盟国の利益を犠牲にして、米中の二国間取引を狙う可能性もあるという。日本はこの可能性に疑問を抱いているかもしれない。ワシントンは日本との長期的な同盟関係よりも、中国との短期的な貿易利益を優先するのか、と。


