プロの書く文章はどこが違うのか。ノンフィクションライターの中村淳彦さんは「プロの書き手には、『明確な意思のある専門性』がある。薄く広く『なんでも書けます』というスタンスの書き手の文章は、いずれ機械に置き換わるだろう」という――。

※本稿は、中村淳彦『プロが教える 億を稼ぐ文章術』(夜間飛行)の一部を再編集したものです。

夜の街に立つ女性の後ろ姿
写真=iStock.com/west
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「書いて稼ぐ」のは簡単なこと

結論からいうと、書いて稼ぐことは簡単にできます。

さらに、ライターは著作権を所持しているので、粘り強く書き続け、運がよければ「文章の複利現象」が起こって大きく稼げるでしょう。

文章の複利現象とは、自分が書いた文章が媒体から媒体にどんどんと転がって膨れあがる現象です。原稿料は最初に依頼されて書いた文章の対価だけでなく、形を変えて化けていくことが特徴です。

パソコンに打ち込んだ文字データがどんどんお金に変わる「文章の複利現象」は、ライターにとって大切なことなので具体的にお伝えします。

誰に依頼されて書いた文章でも、基本的にその文章の著作権は書いたライターにあります。

媒体に掲載されて原稿料をもらっても、書籍として出版しても、それは書き手の著作物を媒体や出版社が利用した対価という考え方です。誰かの著作物を勝手に利用することは認められないので、記事や文章を再利用するときは必ず書き手に許諾の可否の問い合わせがあります。人の文章を勝手に使用することは法律で禁止されているのです。

ライターのみなさんは“書いた文章は著作権が強く認められている”ことは知っておいてください。

AIに勝つ文章、負ける文章

これからのライターに必要なのは、「書き手に明確な意思のある専門性」です。

そして、専門分野の著作物を「貯蓄していく」という考え方で文章を書いていきます。お金に化ける可能性がある著作物は「資産」と思っていいでしょう。

自分がこれからライターとして書いていく文章が資産だとすると、どんなジャンルをどんな切り口で書いていくかが、どれだけ大切かわかるでしょう。だから、著作物の資産化のスタート地点に立つには、「この分野をやる」という書き手の強い意思が必要なのです。

逆に、頼まれればなんでも書く、薄く広く「なんでも書けます」といったスタンスの書き手の文章は、この本が発売される頃にはすでに機械に置き換わっているかもしれません。