さらなるリベラル化の可能性
リベラルな労働移民政策を中心とした日本の移民政策は、2019年の特定技能制度の施行、及び2024年に技能実習制度に代わる新たな制度「育成就労制度」が成立したことでより加速していくものと思われる。「特定技能制度」は、深刻化する人手不足への対応として、生産性の向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限り、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れることを目的として、2018年の臨時国会で成立、翌年4月から施行された。
この制度は特定技能1号と2号という2つの在留資格からなり、1号は日本語、及び技能試験に合格し、日本での雇用契約があれば最長で5年間まで働くことが可能である。2号は更に技能試験に合格した場合に認められるもので、在留期間の更新回数に上限がなく、1号では認められない家族帯同や永住資格の申請も可能となっている。
よって1号は一時滞在型による受け入れだが、2号は永住型である。今後、特定技能2号が増加していくに伴い、日本の労働移民における永住型移民の規模、割合は高まっていくことが予想される。
現在の潮流として、欧米の労働移民受け入れが永住にはつながらない一時滞在型にシフトしていることを考えると、技能実習生のような非熟練労働者を永住型につながるルートで大規模に受け入れることで、日本と欧米諸国の移民政策は対照的な道を辿ることになるだろう。


