新年をよい一年にするためには、どうしたらいいのか。神道学者の三橋健さんは「神社の風習には様々な意味が込められている。『おみくじ』の引き直しや『お札』の長期保管などは、神様に失礼にあたる場合があるので気をつけてほしい」という――。(第3回)

※本稿は、三橋健『神様に願い事を叶えてもらう!厄除け・厄祓い大事典』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

日本文化の新年の装飾
写真=iStock.com/zepp1969
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言葉には「魂」が宿っている

日本人は昔から「言葉にも『魂』が宿っている」と考えてきました。「魂」は「心」と置き換えることもできます。それと同じように、日本人は「世の中にあるすべてのものに『魂』が宿っている」とも考えてきました。

日本の国歌『君が代』に「さざれ石」という石が出てきます。

君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで

この歌に登場する「さざれ石」とは、もともと「小さい石」や「細かい石」のことをさしていました。小さな石が集まっている隙間に炭酸カルシウムなどが入り込むことによって固まり、岩のように大きなかたまりとなるのです。

歌詞には、長い年月をかけて、小さな石が集まってできた岩にこけが生じるように、国民の一人ひとりが結束することによって国が末長く栄え、また、平和でありますように、という願いが込められています。

その象徴として、さざれ石が用いられているというわけです。

「いってらっしゃい」には祈りが込められている

一方、三重県伊勢市には「二見興玉神社ふたみおきたまじんじゃ」があります。この神社を有名にしているのは沖合約700メートルに鎮座する「夫婦岩めおといわ」です。大小二つの岩が仲睦まじく並ぶ姿から、夫婦円満、良縁成就を願う人びとが多く訪れます。

このように、日本人は石や岩をはじめ、山、海、さらには抽象的で目に見えない年にも魂が宿ると考えてきましたので、当然ながら、人間の口から発せられる「言葉」にも魂が宿ると考えられてきました。これを「言霊ことだま」といいます。

言葉には「祈り」があると私は思います。

たとえば、「孫を持つおばあちゃんの言葉」の意味を考えてみましょう。孫が朝、学校へ行くときに「気をつけていってらっしゃいね」と言葉けをするとき、その言葉には「交通事故などにいませんように」というおばあちゃんの「祈り」「願い」が込められています。

「祈り」は「期待」「希望」さらには「本誓ほんぜい」「本懐ほんかい」などと言い換えることもできると思いますが、仏教でいえば「本願ほんがん」になります。

神様は、昼も夜も、一日中、みなさんを守ってくださっています。古い祝詞のりとにも「まもりの守り」と見えています。これらの言葉のなかには神様の人間に対するこのうえない慈悲の心が見られます。