■頭を柔軟にすれば世界も変わる

『頭がよくなる思考術』
    白取春彦/ディスカヴァー・トゥエンティワン

硬直した考え方を解きほぐし、柔軟に発想するための助言を集めた1冊。啓蒙書や哲学書などの先達の知恵を基礎としつつ、わかりやすくまとめられている。たとえば心の持ち方については「紙はそのままでは飛ばせないが、紙飛行機にすれば遠くまで飛ばせる。同様に、言葉や態度などを変えれば、世界をも変えられる」と説く。

■人生や仕事で迷ったときに

『生きるということ』
    エーリッヒ・フロム/紀伊國屋書店

フロムはフロイトの精神分析の流れを汲む社会心理学者。1976年に著されたこの本の主眼は、「持つこと」と「あること」の存在様式の違い。「持つ」こと、つまり富や権力、知識などの所有にこだわるのか、「ある」という自然体の中で自分の能力を発揮して生きる喜びを味わうのかというテーマを通じて、仕事を遂行する間に生じる迷い、生きるうえでの根源的な疑問に答えてくれる。読書や会話など、日常の行動に関する深い洞察と分析も興味深い。章ごとに細かく項目分けがされているので、拾い読みにも向いている。

作家 白取春彦
青森市生まれ。ベルリン自由大学で、哲学・宗教・文学を学ぶ。帰国後は文筆業に従事。哲学・宗教に関する解説書の明快さには定評がある。『生きるための哲学』『超訳 聖書の言葉』『超訳 ニーチェの言葉』『考えすぎない思考術』『仏教「超」入門』ほか著書多数。
(構成=上島寿子 撮影=小原孝博)
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