ここに紹介する本からは、今のリーダーに不可欠な3つの力を学ぶことができる。

1つ目は「逆境を乗り越える力」。IBMの復活劇を描いた『巨象も踊る』は、長引く不況に苦しむ日本でこそ読まれるべき本だ。

著者は、IBM元CEOのルイス・V・ガースナー。アメリカン・エキスプレス、RJRナビスコで経営手腕を発揮したガースナーは1993年、業績不振のIBMから再建を託された。

危機に直面したとき、多くの経営者は痛みを和らげる“投薬”だけで終わらせてしまう。だが、ガースナーは“投薬”と企業文化の“手術”を同時に行った。批判を受けながらも断行したのは、ここで変わらなければ企業が滅ぶことをわかっていたからだ。

変革するリスクより、現状維持するリスクのほうが大きい。ファーストリテイリング柳井正社長の『一勝九敗』や、英国元首相の『サッチャー回顧録』も、このことを教えてくれる。

『一勝九敗』柳井 正・著/新潮社
低価格フリースが大ヒットするまでのユニクロ成功譚。「この後、一時低迷するも、ヒートテックでまた成長軌道に。失敗しても一度の成功で飛躍的に成長できるという柳井氏の思想は今もぶれない」。