2つ目は「イノベーションを起こす力」。ずば抜けていたのは、アップル元CEOのスティーブ・ジョブズだ。評伝『スティーブ・ジョブズ(I・II)』では、幾多のヒット商品を生み出した彼の先見力を知ることができる。
日本マクドナルドの原田泳幸社長は、著者『勝ち続ける経営』の中で、「リサーチで企画するな」と書いている。消費者の言い分と実際の行動は、必ずしも一致しない。彼らの声に応えるだけでは、ヒットは生まれないのだ。
では、どうすればいいか。ヤマト運輸の中興の祖・小倉昌男元社長の『小倉昌男 経営学』に、そのヒントがある。
小倉氏はニューヨークの街角で、4つ角のそれぞれに米物流大手UPSのトラックが止まっているのを見た。小さな荷物を運搬しても儲からないというのが当時の常識。しかし、この光景を見た小倉氏は確信した。日本の消費者も、早く確実に荷物を届けるサービスを待ち望んでいるに違いない――。現象を立体的に眺め、自分の頭で考え抜く。その結果生まれたのが、「宅急便」ビジネスだった。
『小倉昌男 経営学』小倉昌男・著/日経BP社
「宅急便」生みの親による経営哲学書。「新しいビジネスを起こすために必要なのは、現象を立体的にとらえる『鳥の眼』。複雑な現象を複雑なまま見ていては、適切な意思決定はできない」。