愛子さまはどんな人生を歩むのか

天皇の直系の娘ということでは、今上天皇の妹である黒田清子さやこ氏が愛子内親王との比較の対象になってくる。上皇夫妻には、上から今上天皇、秋篠宮文仁親王、そして黒田氏が生まれた。

上皇夫妻唯一の娘ということで、その誕生から黒田氏にも注目は集まってきた。だが、やはり世間の第一の関心は将来において天皇に即位する兄のほうに注がれてきた。それは、美智子上皇后が定めた育児の指針「ナルちゃん憲法」が話題になったところに示されている。今上天皇は徳仁なるひとで、幼少期の愛称が「ナルちゃん」だった。

黒田氏は一般の民間人と結婚した。元内親王として皇祖神を祀る伊勢神宮の祭主を務めるなど依然として皇室とのつながりは深いものの、普段は一人でスーパーで買い物をするなど、庶民と変わらない暮らしをしていると伝えられている。それも、愛子内親王ほど世間の注目を浴びてこなかったからではないだろうか。

愛子内親王は大学を卒業後、積極的に公務をこなし、海外の要人と交わることもあれば、一般の国民の前に姿を現すことも多くなってきた。今後どのような人生を歩むことになるか。その関心はこのままずっと続いていくだろう。

愛子天皇待望論の必然性

皇室に生まれた女性の場合、結婚して皇室を離れることが原則として想定されている。最近は、必ずしもその原則通りにはいかず、彬子女王のように独身のまま三笠宮家の当主の立場になったりしている。

国会では、女性宮家の設置が議論になっており、愛子内親王が結婚した場合、その対象になる可能性が極めて高い。本人の希望も重視されるであろうが、それを拒否してまで民間人になるのは難しいかもしれない。

しかも、愛子内親王は悠仁親王が生まれるまで、数年の間ではあるが、次の天皇になる可能性が高まっていた。

親は子どもが生まれたとき、その子が将来どういう大人になるだろうかと一応は考えてみる。しかし、育児をしなければならないという現実が目の前に襲ってきて、さほど先のことは考えなくなる。

それは天皇夫妻の場合もそうであろう。夫妻の「ご成婚」は1993年のことで、愛子内親王が生まれたのは、それから8年以上が経過した2001年のことである。夫妻は待望の赤ん坊を授かり、大きな喜びを感じたであろう。

御誕生3カ月頃の愛子内親王(2002年撮影)
御誕生3カ月頃の愛子内親王(2002年撮影)(写真=在チェコ日本国大使館/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

その後、愛子内親王がすくすくと育っていったことは夫妻の希望でもあっただろうが、その人気が高まり、愛子天皇待望論が唱えられ、支持されることまでは想定していなかったはずだ。

愛子内親王が天皇に即位する道は、今のところ閉ざされているものの、その道が開かれることを望んでいる人の数は少なくない。天皇夫妻として、その方向にアクションを起こすこともできないが、自分たちの跡を継いでほしいという思いが湧いてくることもあるだろう。

たった1人の天皇の子という立場が歴史上稀なことであるのなら、私たち国民も今一度、そのことの意味を考える必要があるのではないだろうか。

(初公開日:2025年11月8日)

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