一人っ子はどのように育てられるか

私は以前から、「生まれ順」に関心を持ってきた。兄弟姉妹のうちどの順に生まれたかで性格や人間関係の上での相性が違うことに注目してきたのだ。それについては、『相性が悪い!』(新潮新書)に書いたことがあり、生まれ順による私の性格診断はテレビでも取り上げられ、一時はちょっとしたブームになった。

私自身は2人妹がいる第1子である。2度結婚していて、それぞれ一人っ子を育てた経験を持っている。

一人っ子の場合、最初は第1子、つまりは長男や長女として育てられる。その後、弟や妹が生まれないことで一人っ子になるわけである。一人っ子は甘やかされて育つというイメージもあるが、第1子として育てられるので、甘やかされて育つ末っ子とは性格がかなり違う。

屋外で楽しい時間を過ごしている家族
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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また、両親と三人家族で育っていくので、両親の生まれ順の影響を受けやすい。両親がともに末っ子であれば、小さな頃から何かと頼られ、第1子の度合いが増す。逆に、両親がともに第1子だと、仕事仲間の感覚になり、一つのチームのようにてきぱきと行動するようになる。ちなみに、私の二度目の結婚では妻も第1子である。そうした家族関係は、天皇一家と共通する。

一人っ子の決定的な違いとは

一人っ子と兄弟姉妹がいる子どもとの決定的な違いは、「比較」されないことにある。たとえば、兄と弟の二人兄弟であれば、さまざまな場面で兄と弟は比較される。両親だけではない、周囲もそれに加わる。学校の成績などはまさに比較の対象になるわけで、「できる兄」と「できない弟」の比較やその逆が生まれることになる。できないとされたほうは、劣等感を抱くようになりやすい。スポーツ選手だと、兄に負けまいとする弟のほうがスターになる確率が高い。

一人っ子であれば、妹も弟もいないわけで、比較されることがない。その分、劣等感を抱く機会がなく、屈託なく育つ。「マウント」を取るということもほとんどない。それに、親の愛情を一身に受けるわけで、自分は親に愛されていないなどと思うこともない。

もちろん、他に子どもがいないため、親の期待を過度に集めるという可能性もあるが、意外にそれは少ないように思える。やはり、比較される兄弟姉妹がいないからだろう。