西友あってのトライアルGO

② 特異的なビジネスフォーマット

トライアルGOは特徴がわかりづらい店です。しかし、トライアルGOは単店で勝負しようとしている店ではないということに注意しなければなりません。

トライアルGOは西友を母店としながら「スーパー+複数のトライアルGO」という塊がビジネスフォーマットであり、単店で繁盛店を作ろうとはしていないのです。

例えば、まいばすけっとは板橋区だけで51店舗の集中出店をしています。同じ業態だけでドミナント展開をしています。この戦略で東京を中心に1200店舗を超える店舗網を広げています。

一方のトライアルはまだ都内に小型スーパーが2店あるだけ。12月中に2店舗をだし、25年度中に13店舗を出店するとしています。しかしその出店は西友を母店とした衛星店舗のような位置づけであり、必ずしもトライアルGOありきの出店ではありません。

西友の周りに出していく。ここがまいばすとの大きな違いであり、単店を見ただけでは分からないトライアルGOの特徴です。

【図表2】トライアルの出店展開
トライアルの出店展開。(出典=トライアル2026年第1四半期決算説明資料より一部抜粋)

まいばすとはまったく違う戦略

仮にトライアルGOが単独でまいばすの牙城を崩そうとするならば、基本的な商品はすべてまいばすよりも低価格に設定するはずです。それをしないのは、単店で勝負していないからです。

核となる西友の店舗を中心にして、複数のトライアルGOをドミナント展開し、西友も含めた「面」で東京の商圏をおさえていこうというのがトライアル・西友の狙いなのです。

トラアイルGOの役割は、地域での利便性を高めるための存在です。その裏には、常に鮮度の高い商品を適時に売り場に並べる生産・配送工程があります。

店舗運営と同時に、東京の消費者情報をつぶさに分析して、その立地に合った品揃えへと徐々に進化させてく。そして、結果的に商圏内でのトライアルのシェアを高める。それが、トライアルが実現させたいことなのです。

ここで再度、トライアルという企業について振り返ります。トライアルと西友の成り立ちについては、プレジデントオンラインの「約20年前には売上高で1兆円も差があったのに…西友買収を発表した九州発の激安スーパー『トライアル』の正体」に書きましたが、トライアルGOにもかかわる内容だけに、概要だけお伝えします。