※本稿は、能勢章『「度が過ぎたクレーム」から従業員を守る カスハラ対策の基本と実践』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
スーパーの商品に異物が混入していた例
私が実際に弁護士として関わった事例をもとに、「スーパーマーケットの商品に異物が入っていた」ケースにおいて、どういう流れで、どのように行動すべきかを具体的に解説します。
顧客Xが、Yスーパーマーケット(以下、「Yスーパー」と言います)で購入した冷凍コロッケに石のようなものが混入されていたとして、Yスーパーを訪問し、従業員に対して「Yスーパーで購入した冷凍コロッケを食べたら、石のようなものが混入していた。責任者を出せ」と詰問しました。
Yスーパーの店長は、顧客Xから冷凍コロッケに入っていたという石のようなものと残りの冷凍コロッケ(袋あり)を預かり、後日、顧客Xに回答するとしました。冷凍コロッケの袋のロット番号から、確かにYスーパーに納入されたものに間違いなく、しかも、ポイントカードの履歴から、顧客Xの妻がその冷凍コロッケを1週間前に購入したことも判明しました。
この事案において、Yスーパーの店長(現場責任者)としては、顧客Xに5W1Hで聴取することになります。
5W1Hとは、「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」で構成される思考方式です。これを利用すると、事実を漏れ落ちなく確認でき、理解も深まります。
具体的には、「どのような問題が発生したのか」と「顧客がどのような要求を行っているのか」の2つについて、5W1Hで確認することになります。
預かった冷凍食品の袋に印字されたロット番号、顧客の購入履歴、レシートなどから、店長としては、顧客Xが本当にその冷凍食品を購入したのかを調査することが必要です。
購入したことは事実、次に確認することは…
本件では、ロット番号からYスーパーに納入されたものであること、ポイントカードの履歴から冷凍コロッケを購入したことがそれぞれ判明しました。そうなると、異物が本当に冷凍コロッケに混入されていたのかどうかを調査することになります。
なお、仮にYスーパーで購入した商品でないことが明らかな場合(たとえば、ロット番号からYスーパーに納入されたものではないなど)には、Yスーパーの責任はないことになります。その場合に店長が「ロット番号から当店で販売した商品ではないことがわかりました」と説明しても納得せずに執拗にクレームを言い続ける場合には、その時点でカスハラと認定できます。

