AI時代を生き抜くためには何が必要か。生成AIの法人導入を専門とするコンサルタントの小島舞子さんは「日本は、仕事での生成AI利用率が世界最低水準だ。AIに任せられる業務を見極めつつ、人間だからこそ担える『マネジメント』の力を磨いていくことが求められる」という――。

※本稿は、小島舞子『企業競争力を高めるための生成AIの教科書』(Gakken)の一部を再編集したものです。

AIスキルを持つ人の給料は40%高くなる

パソコンが必須ではない職場があるように、AIも全人類にとって必須のものとは言えない。ただし、特にホワイトカラーの職種では、国内外で生産性向上の波は避けられず、ツールを使いこなせる人間とそうでない人の間で差が生じる可能性が高い。

93%の従業員が、2028年までにAI関連のソリューションを仕事で使うようになると予想している。さらに、AIスキルを持つ従業員には、平均で40%高い給与が支払われるという調査結果もある。

しかし、日本国内では仕事での生成AI利用率が世界で最も低い水準にある。

仕事での生成AI利用率は32%と最下位で、2番目に低いフランス(56%)と比べても20ポイント以上の差がある。

AIを活用できないからといって、すぐに仕事を失うわけではないが、これからのキャリアを考えると、AIを学習し、武器として活用できることは大きな強みになるだろう。

AI時代に求人が増加するワケ

2015年、野村総合研究所(NRI)とオックスフォード大学の共同研究が発表され、「今後10~20年で日本の労働人口の約49%がAIやロボットに代替可能になる」との予測が大きな話題を呼んだ。

あれから10年、彼らが想像していた「なくなる職種」は大幅に裏切られたが、その“予言”自体は現実味を帯びているのではないだろうか。

2025年1月に発表された世界経済フォーラムの「仕事の未来レポート2025」では、ビッグデータスペシャリスト、フィンテックエンジニア、AIおよび機械学習スペシャリストが最も募集が加速する仕事として挙げられた。

一方、減少が予測される職種として、郵便局職員、銀行の窓口係、データ入力係などがランクインした。

しかし仕事自体が減るかというと、そうではない。同フォーラムは、この5年間で1億7000万の雇用が創出される一方で、9200万の雇用が失われると予測している。つまり、仕事の総量としては増加する。