人間にとって一番怖いものはなにか。それは人間かもしれない。ノンフィクションライターの小野一光さんは、6人の男性が不審死を遂げた「鳥取連続不審死事件」の取材を続けてきた。犯人の上田美由紀とはどんな女性だったのか――。
2009年に男性2人が変死した鳥取連続不審死事件の控訴審判決。補聴器に手を当てながら判決に聞き入る上田美由紀被告(中央)=2014年3月20日午前、島根県松江市の広島高裁松江支部[代表スケッチ]
鳥取のホステスの周辺で6人の男性が不審死
鳥取県鳥取市に住む上田美由紀元死刑囚(逮捕時36)は、2009年11月2日に詐欺容疑で逮捕された。
そんな彼女のまわりで、男性が次々と不審死しているということを耳にしたのは、同月上旬のこと。詐欺容疑での逮捕というのは、そうした不審死についての捜査に繋がる“別件”であるというのだ。
美由紀が不審死に関与しているとの疑いは、同年10月7日に、鳥取市内を流れる摩尼川で、家電販売店を経営するAさん(死亡時57)の遺体が発見されたことで生まれた。彼は美由紀に総額100万円近い家電製品を販売しており、その集金に出かけた翌日に、変わり果てた姿で発見されたのである。
Aさんの遺体には暴行を受けたような痕跡があり、体内からは睡眠導入剤の成分が検出された。そのことを捜査する過程で、Aさんを含めて、美由紀の周辺で6人の男性が不審死している状況が浮かび上がってきたのだ。しかも、死者のなかには新聞記者や警察官もいるという。
身長約150cmで体重が70kg以上ある大柄な彼女は、かつて鳥取市内にあるスナック「J」(仮名)でホステスとして働いていた。不審死をした男性たちのほとんどが、同店で出会った客である。

