次の総理を決める総裁選で語られない女性天皇の是非
「愛子天皇実現」は多くの国民の願いだ。
皇位継承者が秋篠宮悠仁さんしかいない(秋篠宮は辞退する意向といわれている)というのは、悠仁さんにとっても“重荷”であろう。
しかし政治はまったく動いていない。今回総裁選に出ている候補者たちも、自民党支持の保守層や参政党に恐れをなし、女性天皇について触れることさえしない。
候補者5人(小林鷹之、茂木敏充、林芳正、高市早苗、小泉進次郎)は、皇位継承問題については現行の「男系男子」による継承を維持する方針で一致している。その上で、喫緊の課題である「皇族数の減少」への対策として2つの案についての見解を表明している。
1.女性皇族が結婚後も皇室に残る案
この案は、結婚により皇籍を離れる女性皇族が、結婚後も皇室にとどまり、皇族としての活動を継続できるようにするものだ。小泉は昨年の総裁選では「選択肢を広げるべき」と積極的だったが、今回は「自民党として結論が出ておらず、拙速な判断はしない」と慎重な姿勢に転じてしまった。
ウルトラ保守の高市早苗は、女系天皇につながる可能性に懸念を示し、旧宮家の男系男子の皇籍復帰を優先すべきだと主張。他の3人も概ね慎重な立場だが、皇族数確保策の一つとして議論の対象となる可能性は否定していない。
父親とは違う小泉進次郎
2.旧皇族の男系男子を養子として皇籍に戻す案
戦後に皇籍を離脱した旧宮家の男系男子を養子として迎え、皇籍に戻すことで皇族数を確保する案だ。高市はこの案を最も重視しており、男系継承を維持するためには必須の方策だとの考えを示している。
茂木、林、小林もこの案を皇族数確保策の有力な選択肢の一つとして検討すべきだという立場。小泉はここでも旧皇族の皇籍復帰は国民の理解を得るのが難しい可能性があるとして、慎重な姿勢だ。
小泉の父親の純一郎は首相時代、女系女性天皇も認める皇室典範の改正をする意向だった。改正直前までいったのだが、秋篠宮家に悠仁さんが生まれたことでそのままになってしまった。だが、息子はこの問題について「何も考えていない」ように見える。
石破茂はもともと女性天皇を容認するとたびたび口にしてきた。石破が続投していれば、愛子天皇実現の可能性はゼロではなかったが、それも今は虚しい。
もし、石破の“亜流”である林芳正が総理になったと仮定しても、党内の保守派とぶつかるようなテーマに手を付ける度胸がないのは、総裁選の発言からもうかがえる。
![2005年8月8日、小泉内閣総理大臣記者会見[衆議院解散を受けて]](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/400wm/img_8c72c6f42de31656947f3027e487344e144645.jpg)
