法律的に無理がある“元弁護士市長”の主張
降って湧いた群馬県前橋市の小川晶市長のスキャンダル。政治家としての危機、時々刻々と選択肢が狭まる中、今できることは何でしょうか。実際に筆者が危機対応に取り組んできた経験も含め、これからの選択肢を考えてみました。
小川市長が、同市職員の既婚男性とホテルに行っていたという報道は、一気にニュースやインターネットで燃え上がりました。NHKはじめ、各メディアでは「ホテル」というワードチョイスをしていますが、写真を見る限り実態はいわゆる「ラブホテル」です。これは、疑惑への反応や流れを決定付けたといえるほど重大です。
小川市長も弁護士なのでご存じでしょうが、民事裁判などで浮気の証拠となるかの判断において、ほとんどの弁護士さんはラブホテルへの出入りは不貞行為として認定されると言っています。それ以外の目的が考えにくい場所ということだと思いますが、小川市長は9月24日の会見で「ホテルに行ったのは事実」と認めました。
「男女関係はない」という説明を繰り返す小川市長ですが、法律的にも無理がある主張であって、燃え上がっている批判を打ち消す説得には全くなっていません。
「行っていない」と否定しようにも、この不倫疑惑を報じたニュースサイトの記事にはバッチリと写真も撮られているわけで、「(ラブ)ホテルには行ったが、話をしただけで男女関係はない」という、さすがに誰一人納得できない主張を、今の時点では押し通しています。
市長を辞めさせることはできない
政治でも芸能でも、プライベートは別であるという意見もあります。確かに海外の政治家で問題行動を起こした人もいますが、あくまでそれは海外の話です。日本でもかつて、戦後の保守合同で自民党の生みの親・三木武吉のように、堂々と「妾は5人」と発言した人もいましたが、これも終戦直後の話です。
少なくとも今の日本において、公人たる政治家に求められる価値観や倫理観として、プライベートなことがどうであっても問題ないと認められることはありません。とはいえ、これはあくまで倫理上の問題であって、犯罪ではないため、ただちに解職することもできません。
ちなみに小川市長には、ホテルに行く際に公用車で送迎させたという報道(NEWSポストセブン9月24日)もあり、これが事実であれば法律上、許されるかどうかの問題は確かに検証が必要なことでしょう。ラブホテル不倫が犯罪でない以上、不倫かどうかの真実には関係なく、本人が辞任しない限り、首長を解職することが限りなく難しいと、われわれはこの1年、他の自治体の例でも学びました。もし小川市長が鋼のメンタルで市長職に居座るなら、ただちに引きずり降ろす方法は無いようです。

