【田原】新陳代謝、できるかなあ。いままで政府は中小企業を守るために、彼らにお金を貸せと金融機関にいってきたし、借入金の返済を猶予してもらえる「中小企業金融円滑化法」(モラトリアム法)も実質的に延長した。行っていることは延命措置ばかりでしょう。
【新浪】モラトリアム法の実質的な延長は、たしかに甘すぎますね。潰れざるをえない企業をゾンビのように生き永らえさせるのではなく、速やかに市場から退出していただく。その一方で新しい会社がどんどん出てくるのが重要ですね。それが新陳代謝です。
【田原】潰れる企業と、そうでない企業は、どうやって見極めるのですか。
【新浪】それは、銀行さんにお任せするべきです。いまは町工場のおじさんに「もうやめましょうよ」という機能が、公的サポートが存在するために使えない。本当は銀行さんが貸し出し要件を判断して、企業を育てる、もしくは退出させる機能を担わないといけないのではないでしょうか。銀行の機能を前向きにもう1度見直すべきです。
【田原】経済学者のシュンペーターは、「資本主義社会では不況がときどき起こり、時代に合わなくなった企業は倒産していく、だから社会は健全になる」といっていますね。ところが日本は、倒産させない。どうしたらいいですか。
【新浪】倒産した会社で働いていた方々の雇用を吸収できるような、新しい産業をどう育てていくのかいう視点が必要でしょう。新陳代謝は、新しいものをつくり、古いものをなくすという“合わせ技”です。まず市場に新しい産業が生まれないと、市場から退出していただくことも難しい。そこをいま、産業競争力会議で議論しているのです。
【田原】アベノミクスでは、新しい産業が出てきそうですか。まだ具体的なものが見えてこないのですが。