「ジャパンブランド」を確立できるか
【田原】日本はTPP交渉への参加を表明しました。ただ、TPP参加が日本経済の活性化にどうつながるのか、いまいち見えづらい。どう思いますか。
【新浪】TPPに入ることで、日本はこれから付加価値の高いものやサービス分野で勝負して、世界で圧倒的ナンバーワンになるというビジョンを明確にしたのだと思います。
【田原】ソニーやパナソニック、シャープが負けたのは値段で他社と勝負をしたからだという話があります。そうではなく、これからは値段ではなく、付加価値で勝負するということですか。
【新浪】そうです。日本のように労賃の高い国が、TPP参加国の中で低賃金の国々と値段で勝負を挑んでも無理です。グローバルにおいては、圧倒的に付加価値の高いものを生み出す機能を日本に集めて、ほかは安いところから買ってくるしかありません。重要なのは、国際分業が進む中でどのポジショニングを取るのかということ。付加価値の高いものを生み出して、世界中の中間所得層以上の人たちが憧れるような「ジャパンブランド」を確立できるかどうか。これがこれからの勝負です。
【田原】でも、アベノミクスでそこのところは見えてないですよね。
【新浪】今後、イノベーションを起こして、事業を起こしていくロードマップが明らかになるでしょう。むしろ、これからより議論をしていくべきなのは、中小企業の分野です。「グローバル・ニッチトップ」(GNT)といって、グローバルで戦えるニッチ(隙間)分野でトップを狙える中小企業を育成していかなければいけません。
【田原】日本の全企業の中で、中小企業の占める割合は99%以上です。僕が地方に行くと、「産業競争力会議では中小企業が話題にされていない」という声が多いのですが、いかがですか。
【新浪】企業の“新陳代謝”を促すために、どのような構造をつくろうかという議論は行っています。