秋篠宮家の長男、悠仁さまの「成年式」が9月6日、行われた。ヤフーニュースで皇室担当コメンテーターを務める、神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「メディアの報道やそれに対するコメントからは、世論の風向きが変わりつつあると感じられた」という――。
2014年1月2日の新年一般参賀にて
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悠仁さまの成年式で感じた「これまでと違う印象」

今月6日、残暑というには厳しすぎる暑さのなか、秋篠宮家の長男、悠仁さまは、午前8時45分に始まる「冠をたまうの儀」から、夜の祝宴に至るまで、終日にわたる日程をこなされた。当日だけではなく、伊勢神宮や神武天皇陵への参拝など10日まで5日にわたる関連行事を終えられた。

こうした悠仁さまの姿を見て、神道学者で皇室研究者の高森明勅氏は、プレジデントオンラインで「皇室の将来を男子だけに託そうとする現在の皇位継承ルールが、いかに危ういかという現実を、改めて我々に突きつける結果になった」と述べている(〈「やっぱり“愛子天皇”を実現するしかない」皇室研究家が悠仁さま成年式を見てそう確信したワケ〉プレジデントオンライン2025年9月10日16時配信)。

高森氏の危惧に同意する読者は多いし、私も共有する。ただ、今回の「成年式」報道については、これまでと少し空気が違っている印象も抱いた。風向きがやや変わってきているように感じたのである。

単なる印象論ではない。たとえば、私がコメントを求められたヤフーニューストピックスのコメント欄、そして、その記事の扱い方が挙げられる。

「愛子天皇」待望論が過熱するワケ

コメント欄では、たしかに、高森氏の意見と同じように、いまの皇位継承の流れへの危機感が広まっている。たとえば、「秋篠宮家で教育を受けてきて将来の天皇になると考えると素直に喜べない。個人的には愛子様こそが日本を代表する天皇に相応しい教育を受け知性や礼儀もあると思います」といったものである。

他方で、「成年式」関連の記事は、「ヤフトピ」と呼ばれる主なニュースには取り上げられたものの、「トップ」というYahoo! JAPANのトップページに表示される時間が短かったのである。ここに変化を見てとれるのではないか。

皇室史に詳しい宗教学者の島田裕巳氏は、「悠仁親王が皇太子になるとしたら、それは秋篠宮が天皇に即位した時である。そうした事態がいつ訪れるのか、あるいは本当に訪れるのか、そこははっきりしていない」と指摘している(〈このままでは次代“天皇の母”は紀子さまになる…島田裕巳「愛子天皇待望論が過熱するもう一つの理由」〉プレジデントオンライン2025年9月5日午前6時配信)。

先に挙げた高森氏も島田氏も、ともに皇室典範の不備を的確に見抜いており、傾聴するほかない。彼らの記事が注目されるのも、まさに「愛子天皇待望論が過熱する」世論を反映していると言えよう。