古い細胞を生まれ変わらせる! ノーベル賞受賞で脚光を浴びた体内の細胞をリセットする機能は一定時間食を絶つことで働き出し、生活習慣病の予防・改善などが期待される。安全で効果的な断食を解説。

古い細胞を新しく蘇らせて活力を得る

食べすぎはあらゆる病気のもとになります。過食を続けると体は消化不良を起こして、腸内で腐敗菌が増殖します。腐敗菌は必ずアンモニア(アミン類)をつくります。そのため腸内は毒性の強いアミン類だらけになり、便とおならは一気に臭くなります。特に肉類や糖分を多く摂る食生活をしていると、アミン類が発生しやすくなり、それが大腸がんや潰瘍性大腸炎、小腸がんなどの原因となるのです。

問題は消化器官だけでなく、アミン類は小腸や大腸の壁から吸収されて、血中に入ります。血流に乗って全身に回っていきますので、あらゆる慢性病の原因になります。例えば、アミン類が膵臓に悪さをすると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌を阻害して糖尿病を起こすのです。

そこで健康維持や病気治療の第一歩となるのが「断食」です。断食は腸内の腐敗を防ぎ、アミン類をなくすなど病気の根本原因を除去するので、症状がおさまって病気が治るのです。

断食を行うことによって体内で起きる最大の効果が、細胞をリセットする「オートファジー」です。オートファジーとは、細胞が細胞自身のタンパク質を分解・再生させるメカニズムのことで、日本語では「自食作用」と訳されます。2016年に大隅良典氏(東京科学大学栄誉教授)がその仕組みを解明して、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

人間の体は約60兆個もの細胞でできていますが、酸化して古くなったタンパク質の多くは便や尿、汗となって体外に排出されます。しかし、排出されなかったものは細胞内に残り、細胞にダメージを与えます。すると体調不良が起こり、病気の原因になります。そこで細胞死が起こる前に、古くなったり壊れたりした細胞内のタンパク質を分解し、それをもとに新しいタンパク質をつくる働きがあるのです。それがオートファジーです。

また、細胞内のエネルギー源となっているのはミトコンドリアですが、オートファジーによってミトコンドリアも新しく生まれ変わります。いわば「60兆の細胞の新品化」といえます。

こうして細胞が若返ることで、生活習慣病の予防・改善、免疫力の向上、がん細胞増殖抑制、長寿遺伝子の活性化などが期待されます。

オートファジーは、食物を摂取したときには働かないという特徴があります。細胞が飢餓状態を16時間続けた後に働き始めます。

そこで水だけ飲んで絶食する「水断食」を16時間以上続けると、オートファジーの機構が活動し始めるのです。朝は副交感神経の機能が低下していて、胃腸の働きが弱っています。ですから朝食を抜いて、前日の夕食から16時間以上空ける「朝だけ断食」が推奨されています。断食によって「内臓が少しずつ改善していく」「ミトコンドリアが活発化し、エネルギッシュになる」などのメリットが期待されますが、すぐに効果が表れるわけではありません。ですから、短期間の断食をくり返し実施する必要があります。

私がお勧めしているのは、月に一度の「3days断食」です。16時間連続ではなく、3日間連続の断食です。