「加齢による筋肉減少」は病気を引き寄せる

コンビニやスーパーで、プロテイン入りのドリンクや栄養補助食品が当たり前に売られるようになっています。健康志向の高まりとともに、たんぱく質をとることの大切さがようやく認識されてきたということでしょう。裏を返せば、普段の食事でたんぱく質が足りていない人がそれだけ多いということでもあります。

たんぱく質は、老化を遅らせるために最重要の栄養素といっても過言ではありません。体を鍛えたい人や、成長期の子どもだけではなく、すべての人が毎食欠かさずにたんぱく質をとるべきなのです。

たんぱく質には、重要な3つの役割があります。まず、人間の体の細胞はすべて、たんぱく質がないとつくれません。筋肉、皮膚、爪、髪の毛はもちろん、全身の骨も、体積比にして約半分がたんぱく質のコラーゲンでできています。たんぱく質は体の総重量のうち30~40%も占めており、残りがほぼ水分であることを考えると、まさに体をつくる「主原料」といえます。

さらにたんぱく質は、赤血球や白血球、代謝を司るホルモンや酵素、神経伝達物質、病原体をやっつける免疫細胞などのもとにもなり、体調の維持に欠かせない存在です。

最後に、「エネルギー源」としての役割もあります。主たるエネルギー源である糖質が足りなくなると、たんぱく質は分解されて、1gあたり約4kcalのエネルギーを生み出します。

食事でたんぱく質を摂取し、それが分解・吸収されると、血中のアミノ酸濃度が上昇して、それを原料に筋肉で「筋たんぱく」の合成が始まります。一方で食事からの栄養が足りないと、筋肉中のたんぱく質が分解されてエネルギーとして使われることになります。

つまり、たんぱく質の摂取が足りないと、血中アミノ酸濃度が上昇しないため、「新たな筋肉の合成量」よりも、「筋肉が分解される量」のほうが多くなってしまうのです。これが続くと、筋肉量がどんどん減少し、老化の加速につながります。

私たちの全身の筋肉量は、20~30代前半がピークで、加齢とともに徐々に減っていきます。40代以降になるとそのペースは加速し、10年ごとに8~10%が減少。70代になると10年で約15%も減少するといわれています。

その結果として高齢者が陥るのが、筋肉量が大きく減少することで身体機能が低下する「サルコペニア」と呼ばれる状態です。サルコペニアになると、歩行や起き上がりなどの基本動作にも苦労するようになってしまいます。

さらにそれが進むと、要介護の一歩手前である「フレイル」へと移行していきます。フレイルになると感染症になる確率が高まり、認知症や寝たきりになるリスクも上がります。高齢者の場合、たんぱく質不足による低栄養は、肥満やメタボよりも死亡リスクを高めるといわれています。