――引用されている統計のなかで、私たちの働き方を変える最も重要なファクターはなんでしょうか。

【ちきりん】若年層の人口が減るということですね。次の40年で、20代~30代の人口は半減に近いほど減るんですよ。ものすごいことだと思うんですけど。私は、国家制度的には、日本はまだまったく問題ないと思っています。すごくしっかりした国ですから。ただ、個人の生活はおもしろくなくなると思うんですよね。それだけ若い人が減る国って。

――「2010年から2050年までで20~39歳の人口はほぼ半減する」というのは、確かにインパクトがありますね。

【ちきりん】いま10歳以下の子どもたちが、日本で日本人にモノを売る仕事に就ける可能性は激減すると思います。

――最近、博報堂の生活総研から不安について男女、年代別に分析しているレポートが送られてきたのですが、年代を問わず、不安ランキング1位と2位をほぼ独占しているのが「年金」です。年金と地震が同じ程度に不安、一方で少子化や人口減少に対する不安はそうでもないんです。

【ちきりん】マスメディアの影響も大きいのでしょう。なにかというと年金不安を煽るから。少子化や人口減少は、わかりにくいですよね。渋谷で働いていたり、浦安に住んでいると「少子化」といわれてもまったくぴんとこない。若い人や子供が溢れかえっていますから。でも都心から西側に離れた私鉄の駅で降りると、もう驚くほど高齢者が多いんです。自分がいつも行く場所だけでは、わからないことがあります。

――グローバル化についても同じことが言えそうですね。

【ちきりん】丸の内と港区でも外国人比率がかなり違う。丸の内の外国人比率は、六本木ヒルズの半分もない感じ。霞が関なんてもっと少ない。どこで働いているかによって「グローバル化」のイメージも相当違うと思います。