――「中にいる」「外に出る」という線引き自体には意味がないということですね。
【ちきりん】転職するのもしないのもアリです。どちらかでないとダメなんて、ありえません。転職を勧めてるんじゃなくて、人生における楽しい時間を増やそうと言ってるだけです。今の仕事が楽しいならそのままでいいけれど、自分に対して嘘をつかないほうがいい。自分の人生ですから。
――ご本にも「『再考してみたけれど、今まで通りの仕事とワークスタイルがよい』という人もいるでしょう。結論は何でもいいのです」と書かれていますよね。でも、しつこいようですが、誤解されませんか?「ちきりんさんは会社を辞めろと言っている」みたいに。
【ちきりん】誤解されてるとは思いません。異なる意見の人がいるだけでしょう。いろんな意見の人がいるのはあたりまえのことです。「ちきりんさんの本を読んで決断しました」と言われる方もあります。でも実は自分で決めてるわけです。決断するときに、あの人もそう言ってる、この本にもそう書いてある、というのがあると安心するだけ。自分で決めていたから、特定の本や言葉が心に響くんです。それでいいんですよ。
20代~30代の人口が半減する時代を想像できているか
――『未来の働き方を考えよう』では、人口、寿命、家族構成など、日本における統計の数字が引用されていて、私たち日本人にとってはより具体的な理論を始めやすいと思いました。『ワーク・シフト』にもいろいろな数字を引用した未来予測が載っているのですが、いずれもグローバルな数字なのであまり身近に感じない人もいると思うんです。シミュレーションの部分にしてもどこかSFみたいなところもありますし。
【ちきりん】長くグローバル企業で働いてきた私にとっては、『ワーク・シフト』は十分にリアリティがありました。でも、そうでない人にとっては、確かにSF的だったかも。