――労働環境が厳しい職場が増えているんでしょうか?
『未来の働き方を考えよう』
[著]ちきりん(文藝春秋)ちきりんさんの“考えよう”シリーズ最新刊。

【ちきりん】今はどんな商品でも、ネットで最安値がわかります。例えばネット通販でペットボトルを、東京のお店が200円、九州のお店が197円で売っていたら、東京在住の人まで九州のお店に発注する。仕組み的なバグともいえる話ですが、他の条件を全くチェックせず、1円でも安いもの求める消費者の行動が、日本の職場をどんどん厳しくしているともいえます。

ブログでも紹介していますが、私はエアコンやお風呂のお掃除をプロにお願いしています。エアコンクリーニングは安いところだと1万円ほどですが、私のお願いしているところは3万円近い。その分、本当にすばらしい出来栄えなんです。客が感動するレベルの仕事をしてくれる。お風呂の掃除に2万円なんて高すぎると言う人もいますが、私のように掃除が得意でも好きでもなく、その時間を別のことに使ったほうが稼げるという人にとっては、合理性があります。お金に余裕のある人まで、趣味のように節約するのはやめたほうがいい。

――ブログではパジャマなども紹介されていますね。

【ちきりん】あのパジャマは日本製で、生地も縫製もすばらしいです。いいものにはそれなりの対価を払うという感覚が広がらないと、人件費の高い日本では、職場はどんどんブラック化していきます。

――「ノマド」という言葉についてはどうでしょう?

【ちきりん】みなさんがなぜその言葉に関心をもつのかさえ、私にはわからないです。それに、ブームもそろそろ下火なのでは?

――「動きまわって仕事をしている人」みたいな一定のイメージですけれども。

【ちきりん】私は引きこもりがちなので、むしろ反対ですね。人混みが嫌いで自宅のソファが好きなので、あちこち移動するなんて面倒です。