※本稿は、今野有子『目に見えない価値の伝え方 顧客を感動させる提案の技術』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
商品価値は4つの基準で判断されている
価値は大きく分けて、(1)交換できること、(2)役に立つこと、(3)ポジティブな感情を引き起こすこと、(4)意義があること、の4つの基準によって判断されています。
実際の消費行動や意思決定は、これら4つの基準が組み合わさることで形成されます。
(1) 交換できること――交換可能性
交換可能性とは、「何かと交換できる価値」です。典型的な例は貨幣です。紙幣やコイン自体は何かに使えるわけではありませんが、「何か価値のあるもの」と交換できるからこそ、人々にとって価値があるのです。「市場での価値」とも言えます。
(2) 役に立つこと――目的にとっての有用性
有用性とは「これは何の役に立つのか?」という基準です。有用性には、大きく分けて「機能的な有用性」と「社会的な有用性」の2つがあります。
機能的な有用性とは、自分がそのモノやサービスを使って実際に役立つかどうかです。たとえば、スマホの充電ケーブルは「充電するという目的のため」に買います。ゴミ袋を買うのは、「ゴミを捨てて部屋を綺麗にするため」。どちらも商品そのものが気に入ったからではなく、「手段として必要」だから選んでいます。
「楽しい」「気持ちがいい」感情も必要
社会的な有用性とは、他者から評価されるために役に立つかどうかです。たとえば、ロレックスの腕時計には「時間がわかる」という機能的有用性もありますが、多くの人がロレックスを選ぶのは「ステータスを示す」「ビジネスの場で信頼感を与える」という社会的な有用性を評価しているためです。
(3) ポジティブな感情を引き起こすこと――個人的で瞬間的な視点での満足
「楽しい」「気持ちがいい」と感じるものに対しても、人は価値を見出します。
これは、有用性や交換可能性とは異なり、純粋に感覚的な満足や快楽を得ることを目的とした価値です。映画、音楽、ゲーム、美味しい食事といったものは、実用的であったり、交換できたりするわけではありませんが、「楽しい」「気持ちがいい」という理由で選ばれます。
海外旅行をするとき、「とにかく安く移動できればいい」と考える人は、格安航空会社(LCC)を選び、「移動も楽しみの一部だから、快適に過ごしたい」と考える人は、ビジネスクラスやファーストクラスを選びます。前者では有用性が、後者ではポジティブな感情が基準になっています。

