グローバリゼーションにより、40歳を過ぎて突然中国語や英語が必要になる人も増えている。若いときに留学や海外経験のないミドルが、どのようにして仕事に使えるレベルに上げたのか?
部門の撤退を機にグローバル業務に
「本腰を入れて英語を勉強しないと、この会社で生きていけない……」
ダイキン工業滋賀製作所、空調生産本部企画部法規担当課長の山口義文さんがそう腹を括ったのは、2004年の40歳のとき。大学では機械工学を専攻し、事務機メーカーを経て1991年にダイキン工業へ転職。いわゆる理系人間で、開発業務一筋でやってきた。
ところが所属していた医療機器部門の市場撤退を機に、00年、空調機器の開発管理業務に異動。04年、世界中の各種法規制に製品が適合しているかどうかをチェックする部門が創設され、そのマネジャーに就任する。
それまでは専門部署がなく、法規制に詳しい社員が個別に担当していた。
「業務で読む文書は8割が英語。当初は英語が得意な人に任せていましたが、海外拠点のメンバーと直接やり取りできないし、担当者の分析結果(英語)を読むのにも時間がかかる。マネジャー自ら英語を習得して言いたいことを伝えないと、この仕事はできないと悟りました」
転職組のうえ、事業撤退も経験していることから、山口さんにとってはまさに背水の陣だった。そこで05年初めに駆け込んだのが、当時「駅前留学」を謳っていた英会話学校。費用は完全自腹で週2コマを受講。この駅前留学に加えて、週末に1時間ほど文法参考書『やりなおし英文法』を「SVOのレベルから」やり直した。
さらに、風呂上がりには、『キクタンBasic4000』という単語帳(1120語)を毎日4ページ(16単語)分、勉強。付録の赤色フィルムで日本語を隠しながら単語の意味を確認し、例文を声に出して読み、単語の使われ方も覚える。思い出せない単語はマークを付ける。
そんな頃、ベルギーの拠点への出張があった。会合自体は通訳もあり、特に英語を使う必要はなかったが、帰りに空港に向かうタクシーで運転手と英語の会話が弾んだ。わずか4カ月ほどだったが、英語の勉強の効果を「生まれて初めて実感した瞬間」だったという。