『キクタン』を7年間で14回繰り返した

その後、英会話学校が経営破綻し、社内の英会話レッスンに切り替えた。費用の半額を会社が負担するサービスだ。自己負担は減ったものの、「自分で払っているんだから、毎週、授業には行こうという気になります。何よりも、今の収入があるのは、英語への投資をしているから。やめたら仕事もなくなると覚悟しています」と山口さん。

単語帳のキクタンは7年目。半年ほどで1周し、すでに14周していることになる。「妻から『よう続くね』と言われるほど。何周しても覚えられない単語があるんですよ」と笑う。ただし、暗記力を試すようなことはしない。

「絶対10個覚えるとなると、すごいプレッシャーですが、覚えていなければマークして次回チャレンジすればいい。その代わり、どんなに遅く帰っても、5分でもいいから目を通します」

5分では文字どおり流し読みだが、「今日もやった」という気持ちを切らさない“儀式”でもある。そうしないと、「1日くらい休んでもいいか」が、やがて「1カ月くらいは」に変わってしまうからだ。

通勤に使うクルマでは、昔ちょっとだけ手を出した英会話通信講座「ヒアリングマラソン」の教材CD6枚を流している。片道30分、クルマを動かせば自動的にこのCDがかかる。自分の日常行動にうまく学習を組み込んでいる。

また、出張の新幹線では、ポッドキャストの「English as a Second Langua ge」という番組を携帯音楽プレーヤーで聴いている。1回25分間で、割とゆっくりめの英文が読み上げられた後、単語の解説が入る番組構成だ。すでに3、4年続けている。

毎日歯を磨くように、風呂から出たら当然のように本を開く。「忘れっぽい」山口さんは、こうした習慣化が長く続けるポイントだと言う。単語は忘れるし、聞き取れない英文もある。それでも落ち込まず、淡々と続けている。

「ゴルフも好きで練習していて特別うまくなるわけではないですが、2、3カ月練習しないと極端にスコアが落ちますから。続けることが大切です」