(3)「安易な結論づけ」を改める
ここでの「安易な結論づけ」は、悲観を生む「過度の一般化」のことをイメージしている。少数の出来事から、安易に「一般法則」的なものを導き出し、もはやどうにもならないと勝手に決めつけてしまう。そういう思考のあり方である。
こうした傾向の強い人は、客観的に物事をとらえ、事実に即して合理的に考えることを、強く自分に課すよりほかはない。Q5に示すように、冷静に状況を分析し、適切な判断を下すよう努めることだ。
(4)「今なすべきこと」に集中する
後悔と不安は、思考の向かう先が過去か未来かという違いはあるが、ともに「コントロール不能なものを思考対象としたときに生じるという点で、実は共通している。あまりに未来すぎる話や、経済環境のような大きすぎる話も、コントロール不能という点では、過去のことと同じなのである。
「今なすべきことに集中する」とは、こうした思考のワナに陥らないよう、問題をコントロール可能な範囲に収束させていく努力をいう。過去でも遠い未来でもなく、ちょっとだけ未来に目を向けることだ。負の感情に陥らないための最大の要諦は、「考えても仕方がないことを考えない」ということに尽きる。そんなことを考えているヒマがあったら、実行可能な「目先の一歩」を見出し、行動を起こすべきなのだ。
それだけで、私たちはすでに幸福への道を歩み始めている。
充足感を得やすくする練習問題
Q1.「そこにある幸福」に気づく
ささいな日常の出来事が、幸福を感じさせてくれることがあります。自分の経験を振り返り、そうした出来事をできるだけ多く思い出してみてください。
(例)3歳になる娘と手をつないで散歩をした。風が心地よく吹いていた。
Q2.「日常の価値」に気づく
あなたがもし天災や事故などで家族を失ったとします。家族の命とともに、何を失うことになるのでしょうか。できるだけ多く列挙してください。