視覚からの好印象は、話の説得力をも増長する

ケネディは、当時モノクロだったテレビを意識して、赤いネクタイと濃い色のスーツを着て陰影をクッキリとさせ、顔には薄化粧を施している。目線は常に上向きで精悍でイキイキとした印象であり、テレビが生んだ最初の政治的なスーパースターとまで言われた。それに対してニクソンは、グレーのスーツがモノクロの画面にぼやけて頼りなく映り、化粧も拒否したために疲れた印象になってしまったようだ。

ところが、ケネディとニクソンのラジオ討論、つまり話の中身だけの視聴では、ニクソンが圧倒的に有利な印象持った人が多かったとされている(*3)。テレビ討論で、もしニクソンがケネディの風貌で話したなら、ニクソンが勝利していたかもしれない。ここでも、人の見た目がいかにその人の話の説得力に影響するかが見て取れる。

もちろん、いつもネクタイをしていればいいわけではないし、場面に応じる必要はあるだろう。相手がゆったりした服装なら、少しゆるめたほうが互いに居心地がよく、逆に常にスーツ姿の方に会うなら、こちらもあわせたほうが印象はいいだろう。

目線もはずさずに、挨拶も力強くするだけで「自信がある」ように見えるし、自信がある人間の話には、より人は聞くべき価値をみいだしてくれるものだ。

先日も書いた「同調作用」は、まずは自分を受け入れて心を開いてもらい、話に耳を傾けてらうためには大切な側面である。相手と同じである必要はないが、その“相手に対して効果的な視覚要素”で好印象をつくることは、話の説得力を増すためにも一役かってくれるはずだ。

[参考資料]
*1 Albert Mehrabian, 1995-2012 , Personality & Communication: Psychological Books & Articles of Popular Interest   http://www.kaaj.com/psych/smorder.html
*2 Leonard Bickman, The Effect of Social Status on the Honesty of Others, 1971,85,87-92, The Journal of Psychology
http://www.communicationcache.com/uploads/1/0/8/8/10887248/the_effect_of_social_status_on_the_honesty_of_others.pdf
*3 田中順子,2005,情報メディア・コントロール
http://www.digital-narcis.org/johoshak_free_font/10/tanaka.pdf

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