小林製薬の「チンしてこんがり魚焼きパック」は2009年の発売以来累計500万個を出荷。10年の各種ヒットランキングで上位に選出された。開発者は十田哲郎氏。企画の実現のために何を心がけて上司と接しているのか。

中間報告はいつすべきか

小林製薬 
マーケティング部 開発企画担当 
十田哲郎氏

私が所属する開発企画チームで、新商品の企画書を通す相手は専務と社長です。小林製薬では入社2年目の若手でもアイデアを役員や社長に直接プレゼンします。プレゼンは実施日が決まっていて、新商品の企画は月1回の専務へのプレゼンで披露します。ここで評価されれば、次は社長プレゼン。社長の決裁が得られると商品化、という流れです。

私にとっての中間報告は、最初の専務へのプレゼンです。ここで温めてきた企画を出すのですが、どのタイミングで専務に企画をぶつけるべきか。私は、企画に数字と具体性が揃ったときが、中間報告のタイミングだと考えています。

新商品の企画でも、既存ブランドを拡張する商品なのか、それともまったくの新規商品かで見極め方が異なります。

例えば、トイレ洗浄・芳香剤の「ブルーレット」の企画で「香水系の香りがあってもいい」とアイデアが浮かんだ場合、タイミングは迷わずすぐに提案します。既存人気ブランドの拡張で、数字の裏づけも具体性も想像しやすいからです。

難しいのは新市場を創造する商品の場合。アイデア自体にユニーク性があるか、それを実現するシーズ(材料・技術)があるか、が重要になってきます。