例えば「チンしてこんがり魚焼きパック」という、手軽に電子レンジで切り身魚が焼ける使い捨て容器の場合、マイクロ波が当たると発熱するシートの存在を知り、電子レンジで魚を焼いたらどうかと思いつきました。これがユニーク性。そして発熱シートの技術や安全性、シーズについて確認し、製造工程を想定してアイデアがいけそうかどうか予想します。

このとき大切なのが数字。いくらユニークで、技術的にもいけそうなアイデアでも、商品として成立させるためには数字の裏付けが必要。そこで商品の設定価格、損益分岐点、予測売り上げ、購入意向率などのデータをそろえます。

特に意識する数字は購入意向率と予測売り上げ推移。これには上司に市場が広がる可能性を認識してもらう狙いがあります。新商品が新しい市場を拓く、というイメージを上司に持ってもらうと、提案が通りやすくなるのです。

その際、細かい数字の羅列は避けシンプルな説明を心がけます。上司の決裁には最低の数字があれば十分ですし、そのほうが相手の頭に必要なものだけが残りやすく、説得力が増すのです。

そして、もう1つ大切なのが具体性。アイデア説明には具体性が不可欠。商品の具体性を担保するために必要であれば、中間報告でもパッケージのサンプルまで作りこみ、商品イメージを喚起します。

報告の最中、上司が乗り気ならば数字や商品の具体性が刺さっている証拠です。逆に上司が首をかしげるときは数字と具体性で説得力に欠けたプレゼンということ。そんなときは引く姿勢も大切です。

例えば「魚焼きパック」は単身世帯がターゲットです。それなのにプレゼンの最中に上司が「ウチのカミさんは網を使って魚を焼くからパックなんか使わない」と4人家族の自身の家庭を前提に議論を始めたとしたら、数字の裏づけや商品の具体性が刺さっておらず、消費者像をイメージしてもらえていない証拠。議論の深入りは禁物です。「もう1回検討します」と持ち帰って、数字と具体性の点から検討し次のプレゼンで再挑戦します。

数字と具体性のように、上司にわかりやすく内容が伝わる条件が揃った瞬間が、中間報告に最適のタイミングでしょう。