住宅ローンは史上最低金利ということもあり、変動金利型を利用している人が多いはずだ。今は1%以下で借りることができるので返済に余裕があっても、将来、4%、5%と上昇していったときに返済額がどれくらいになるのか試算しておく必要がある。固定金利型に借り換えることも検討すべきだろう。

最後に強調しておきたいことは、国家の財政破綻は、戦争や内乱のような国家権力の暴走と異なり、個人でリスク管理が可能だということだ。ギリシャなどでは確かに厳しい状況が続いているが、シリアのように多数の市民が犠牲になっているわけではない。いざというときに対応できる基本的な経済・金融知識があれば、投資の初心者でも資産を守ることは可能なはずだ。

そのためにも、家計に影響がない程度の金額で、投資を体験してみるといい。損をしてショックを受けるかもしれないが、いずれ安い授業料だと思えるようになるだろう。

橘玲さんの「2013年やるべきこと」リスト

1.仕事を考える

□サラリーマンという生き方を見直してみる
□好きなことをする
□自分の人的資本はどこにあるのか、何で稼げるのか自覚する

2.家庭を守る

□専業主婦の妻を働かせることを考える
□子供を留学させることを考える
□会社以外のコミュニティーに属してみる

3.資産を見直す

□いざというときのために経済、金融知識を身につけておく
□住宅ローンの金利が上がったときを想定する
□少額投資で「損すること」を経験しておく

作家 橘玲
1959年生まれの経済小説家。2002年『マネーロンダリング』でデビュー。その後も『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』など、海外投資など幅広い金融知識を生かした著書を多数発表。最新刊は『不愉快なことには理由がある』。
(構成=金融系ライター 山本信幸)
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