『行動経済学』友野典男/光文社新書
過去20~30年で急速に発展した行動経済学について、心理学的研究と経済学的な概念との関係をコンパクトにまとめた1冊。「応用可能な概念を押さえておくのに最適」。

『日常の疑問を経済学で考える』ロバート・H・フランク/日本経済新聞出版社
身近な日常の中の謎を、経済学的な発想を使って考える。「本当か? と思うものもないではないが、読み物として面白い。類書に『ヤバい経済学』(東洋経済新報社)が」。

『小倉昌男 経営学』小倉昌男/日経BP社
個人宅配という新市場を開拓したヤマト運輸元社長の経営哲学。「本当に尊敬できる日本の経営者は小倉氏ぐらいだと思う。『ウィニング』の解毒のために併読をお勧めする」

『企業・市場・法』ロナルド・H・コース/東洋経済新報社
1991年にノーベル経済学賞を受賞した米経済学者の、制度・市場・企業等についての考察。「数式なしで厳密な思考を展開。経済学的な発想に興味のある方にお勧め」。

『雇用、利子および貨幣の一般理論(上)(下)』J・M・ケインズ/岩波文庫
マクロ経済学を確立した著者の出発点であり古典。「12章だけ読むべし。投資の意思決定やマーケットについての見解が集中的に出ていて、株やFXを手掛ける人にも刺激的」。

『セイラー教授の行動経済学入門』リチャード・セイラー/ダイヤモンド社
行動経済学の黎明期の、生き生きとした論文をまとめた1冊。「本来1.5倍程度の馬券が2.5倍付く……といった、通常の経済学では説明できない現象=アノマリーを研究」。

『「ネットワーク経済」の法則』カール・シャピロほか/IDGコミュニケーションズ
ネットワーク経済についての、初の本格的な経済分析。「どこに利潤が集まり、どんな競争をしているのか、魔術の類ではないその原理を知っておくうえでのベースになる」。

『国家は破綻する』C・M・ラインハートほか/日経BP社
世界の歴史の中で起きたバブルとその崩壊、国家のデフォルトについての研究。「『破綻しないバブルなどない』ということを、膨大なデータを使って論じている」。

『上級 マクロ経済学』D・ローマー/日本評論社
理論と実証分析を合わせたマクロ経済学の教科書。「難解だが、最近のマクロ経済学がわかる。ちなみにミクロでは『ミクロ経済学』(林貴志著、ミネルヴァ書房)がお勧め」。

『サムスン式仕事の流儀』ムン・ヒョンジン/サンマーク出版
サムスン元管理職が同社の仕事の流儀を伝授。「ごますり社員・モーレツ社員になる方法。日本では教えなくなった処世術を学べるが、だいたい理解したら古本屋へ」。

経済評論家
楽天証券経済研究所客員研究員
山崎 元
(構成=西川修一)
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