長期的な良循環を起こす仕組みづくり
2008年3月の異動で現在の職務についた。それからというもの経営について考える機会が格段に増え、何度も読み返しているのが『小倉昌男 経営学』である。小倉氏がヤマト運輸で実践したことやその思考方法には、経営に関する多様な視点が盛り込まれ、学ぶところが多い。論理的に考え、メリハリをつけて決断する。それを長期的な視野に基づいて行うことが大切だということに気づかされる。経済が短いサイクルで激変し、先の読めない今だからこそ、目先の変化に惑わされず長期的な良循環を起こす仕組みをつくることが経営の役割だと再認識させられる。
長期的な視野を養うという点では『リーダーの易経』も得るところが大きい。タイトルに易とあるが占いの本ではなく、時機を見極める洞察力、変化の兆しを察する直観力について書かれたものだ。リーダーを目指す人材にとって、時代の風を読みながら行動し成長することが、いかに重要であるかを説いている。
組織が劣化するメカニズムとその克服を論じた『組織戦略の考え方』と、企業経営全体を見る眼をいかに持つかについて言及する『経営を見る眼』は、組織や経営の基礎を知る入門書として最適だ。
組織について会社を超えた広い視野から考察しているのが、『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』。これは安心を失った日本における「信頼社会」という新しい社会のあり方を説き、組織論としても、また個人の心の問題としても読めるものだ。
リーダー向けの多種多様な本があるなか、女性リーダー向けとしてとくに勧めたいのが『部下を好きになってください』である。同書では多くの日本企業において、チャンスを与えられた女性が「私には荷が重いので」と身を引きがちな現状を取り上げ、チャンスはやはり生かしてほしいと訴える。著者の実体験を交えて書かれた内容に、私自身支えられた部分も大きい。