消費税率アップ対策:消費税増税がビジネスチャンスに?

消費税増税のための「社会保障と税の一体改革法」が成立し、14年4月1日に8%、翌15年10月1日には、10%に消費税が引き上げられることになった。

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消費税率アップの流れ

13年8月までに衆議院選挙が行われるので、増税の是非を問う機会はまだ残されているが、来るべき大増税時代への備えは必要だ。

「消費税増税をビジネスチャンスと見るなら、まずは高額商品でしょう。税率が一律なら高額商品ほど負担感が強いから駆け込み需要で売れるのです。典型的なのは家、それもマンション。なぜなら土地には消費税はかからないから。“マンションブーム”の予感もあり、最近はモデルルームの見学者が増えています」(深野氏)

住まいが新しくなれば、家具や電化製品も買い替えることが多く、車や耐久消費財などの高額商品も売れる。ただし、忘れてはならないのは、新たな需要が掘り起こされたわけではなく、需要の先食いにすぎないということだ。その先に待っているのは凍てつく冬である。メーカーサイドは、いかに在庫を残さないで撤退するかを考えておく必要がある。

「個人の消費税率アップ対策というなら、金(ゴールド)を買っておくという手もある。増税前に金を買って、増税後に売れば消費税上昇分の鞘が取れる。今、金がグラム4000円前後だから、1キロ400万円で、5%の鞘が取れたら20万円。銀行に預けるより全然いい。問題は金価格の動向ですが、世界的な通貨不安は当面、解消されないし、私はアメリカが利上げすることはないと考えています。金が大きく売られることはないでしょう」(深野氏)

消費税増税後に未曾有のビッグチャンスがやってくるというのは、森永卓郎氏。

「消費税増税だけではなく、13年から復興増税が始まるし、厚生年金保険料が13年10月までに0.354%ずつ、3回上がる。健康保険料も恐らく、0.5%ずつ3回上がる。ざっくり計算すると、年収500万円の標準世帯で年間で30万円弱くらい負担が増える。500万円の収入で30万円も手取りが減れば、今のデフレが激烈なデフレに変わります。そこで最大のビジネスチャンスがやってくる」

かつての昭和恐慌や97年の韓国の通貨危機のような状況が訪れると森永氏は指摘する。

「昭和恐慌のときに、ものすごい勢いで資産規模を拡大したのが三井、三菱。昭和恐慌が財閥をつくったんです。韓国の通貨危機でも外資とお金持ちが一気に資産を増やして、韓国は超格差社会になった。これから日本でも同じようなことが起こり、キャッシュポジションの高い人が1人勝ちすると思います」

小金持ちでも、マンションを買うくらいの資金でビル1棟が買える時代がやってくると、森永氏は予測する。

経済アナリスト、獨協大学経済学部教授
森永卓郎

東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)に入社。三和総合研究所などを経て、2006年から現職。
ファイナンシャルリサーチ代表
深野康彦

東京経済大学卒業後、クレジット会社に勤務し、1996年に独立。ファイナンシャル・プランナーとして活躍中。
(小川剛=構成 的野弘路=撮影)
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