会社の宴会は「勤務時間内」で

会社の人たちと一緒にお酒を飲みに行くようなことはまずありません。

そもそも外で大っぴらにお酒を飲むことはしないので、日本でいう飲み会のようなものはないわけです。

※筆者註:人口の9割がイスラム教徒です。イスラム教では飲酒が禁止されているため、エジプトでは日常的にお酒を飲む文化はありません。詳しくは拙著『エジプト人の「いい加減」でがんばりすぎない生き方』(KADOKAWA)の「レストランにお酒は基本的にない」をご参照ください。

あるとすれば、クリスマスパーティのようなものだけです。エジプト人の大半はイスラム教徒ですが、厳格な人以外、基本は多くの人がクリスマスを祝います。

その場合、仕事が終わってからやるのではなく、勤務時間の範囲内で行います。

会社が6時までだとすれば、4時まで仕事をして、4時から2時間、会社でパーティを行う感じです。

日本でも、先輩にお酒に誘われたときに「勤務時間外なので、付き合う義務はない」と考える若い人たちが増えているようですね。

エジプトでは最初からその部分の線引きがしっかりなされているわけです。

プライベートの時間には干渉せず、時間を奪おうとはしない、ということ。

ちなみに、規模の大きなクリスマスパーティを開催するなら社員の家族も招待します。わたしも子供の頃に、父の仕事の関係のパーティに母や妹と一緒に行ったことがあります。同じ会社で働いている人たちとは、家族ぐるみで仲良くするのがエジプトスタイルです。

ニューカイロの写真。クリスマスツリーが設置されている。
筆者撮影
ニューカイロの街風景。

厳しい業務指示、何と答える?

「インシャラー(インシャーアッラー)」という言葉があります。

日本ではかなりの量の仕事をするようにとオーダーされたときには「わかりました。なんとかします」と答える人が多いような気がします。

エジプト人はというと、そういうときは「インシャラー」と返します。

「もし神が望むなら」という意味の言葉です。

シンプルに解釈すれば“神様が望めばできますが、神様が望まなければできない”ということになります。

外国の人たちはこの言葉をエジプト人(アラブ人)の怠惰さ、ルーズさを示すものだと考えがちなようだけど、ちょっと違います。

無理はしないというだけで“今日できるようだったらやります”というニュアンスが含まれています。