新天地で自己ブランドをつくり上げるには
「評判がよすぎるのは危険です」
PRのプロ、田中愼一氏がぴしゃりという。外見を磨き、一歩踏み込む仕事ぶりで周囲の信頼を勝ち得ていく。評価が高まり、花形部署への栄転や他社への引き抜きの声がかかったとする。
そのとき、自分にまつわる評判は両刃の剣になりうるという。
「いま企業はブランドよりもレピュテーションに注目しています。まだ知られていない企業や商品に対して認知度を引き上げてつくるのがブランドです。それに対して、ブランドの成長とともに膨らんでいくのがレピュテーション、つまり評判です。ブランドに対する期待値といってもいい。実際に提供できる価値よりも期待が低いなら問題はありません。困るのは、実力よりも期待が高まってしまったときです。期待に応えられなくなった瞬間、期待は失望に変わります。つまりブランドイメージが急降下する。企業でも個人でも同じです」
だから新天地においては「期待をマネージすること」が大事だという。そのプロセスを示したのが図2である。
「最初に必要なのは、自分に対するまわりの期待を読むことです。理想は、実力よりも期待のほうが少し高めにあることです。期待に応えようと頑張るので実力がつくのです。ただ、少しの努力では応えられないような期待であれば、期待値を引き下げなければなりません」
どうやって期待を「読む」のか。
「まず、自己主張を忘れること。もっと言うなら、思い込みや我執をゼロにすることです。まわりがどういうことを期待しているか、耳を澄ませて聞き取るのです。そのときに一番邪魔をするのは自分です。『俺はできる』『自分のやるべき仕事はこれじゃない』という思いを抱いていれば、言わなくても必ず表に出ます。そこに気をつけなければいけません」