ひざは痛くても運動したほうがいい

「ひざが痛いときは安静に」と信じている方が、実はかなりいらっしゃるのではないでしょうか。第2章でも「動かさないとひざ痛はよくならない」とお話ししましたが、もう一度お伝えします。ひざ痛は動かさないと治りません。痛くても動かしたほうがよいのです。

痛みを我慢したり、こらえたりするのはとてもつらい。でも痛みをあまり感じない動かし方があります。私が患者さんにお勧めしているのは水中ウォーキングです。ひざ痛の方には、プールまで行かなければならないというリスクが多少生じますが、ぜひご家族などに協力してもらって、プールに出かけてみてください。

水中ウォーキングは水の浮力によって、ひざに負担をかけずに足を動かせるので、ほとんど痛みを感じないはずです。そして有酸素運動と無酸素運動が同時にできることも、水中ウォーキングをお勧めする理由のひとつです。

有酸素運動は酸素を取り込みながら行う運動で、体脂肪を燃やす効果があります。肥満はひざ痛の直接的な原因ではありませんが、筋肉が少なく体脂肪が多い肥満の方は、ひざ関節が体重を支えきれていない可能性が大なので、ダイエットの必要があります。

一石二鳥の水中ウォーキング

体脂肪を減らすには有酸素運動が不可欠で、その点、水中ウォーキングはひざに負担をかけず、さらに水の抵抗を受けながら歩くことで、陸上でのウォーキング以上に短時間で効率よく体脂肪を減らすことができるのです。

杉本和隆『痛みがすーっと消える 魔法のひざ体操』(幻冬舎)

一方で無酸素運動は、短時間に強い力を出して筋肉をつける運動です。陸上でいえば短距離走やバーベルを使った筋力トレーニングで、酸素を使わずに筋肉を収縮させるエネルギーを作ることから、こう呼ばれています。

水中を歩くときは、水の抵抗があるために、ももを上げないで歩くことは不可能です。骨盤から脚のすべての筋肉を使って足を持ち上げないと、前に進むことができません。とくにももを上げる動きが大腿四頭筋に強い負荷をかけます。

市区町村やスポーツクラブなどのプールでも、ひざ痛の方が多く水中ウォーキングを行っており、場所によっては専用レーンが設けられています。

同じ仲間ができれば運動も楽しくなり、継続につながります。そういった意味も含め、私はひざ痛の方には水中ウォーキングをお勧めしています。

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