社員の才能を見極め、成長できる環境を整える

【澤円】本当に強靭な組織をつくるには、組織やチームを引っ張っていくリーダーの役割やあり方も重要です。リーダーシップについてはどう考えていますか?

【片石貴展】わたしはよく、いわゆる「カリスマ経営者」っぽく見られがちなのですが、実際はサーバントリーダーシップに近いスタイルだと思っています。なぜなら、わたしがブランドを創造し、社員を引っ張っているわけではないからです。そうではなく、みんながやりたいことを叶えられる場所を用意し、支援し、そこに集う熱量によって会社を成長させるタイプなのです。

人の才能を発掘し、成長していく様を見るのが好きなんです。あえて「つくる」という表現をしますが、「ものをつくる人をつくる」ということが、自分のもっとも才能がある部分だと認識しています。なぜそう断言できるのかというと、繰り返しになりますが、やはりそれがいちばん好きなことだからです。

毎日社員と顔を合わせて「観察」する

【澤円】メンバーそれぞれのオリジナルな才能を発掘し、人間的成長を促していくには、一人ひとりをしっかり「観察」する必要もありますよね。

【片石貴展】おっしゃる通りです。観察して、いい部分は伸ばしていき、改善したほうがいい部分はきちんと指摘をする。それは、単に経営のダッシュボードを眺めているだけではできません。だからわたしは、毎日出社して社員と顔を合わせますし、オフィスもワンフロアーで見渡せる構造にしています。当然、社長室もありません。

社員にとっては、いつも社長がいたらうざいとは思いますよ(笑)。「やだな」「居づらいな」と思うときもあるかもしれないけれど、物理的に可能なうちはこのスタイルを続けたいと考えています。