※本稿は、はじ『世界の非ネイティブエリートはたった100語で話している』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「簡単な英語=イケてる」がグローバルスタンダード
英語を学びたい! 自由に話せるようになりたい! という人の多くは、「ネイティブと同じぐらいのレベルになりたい」と思っているでしょう。またビジネスで英語を使う人も、「できれば世界のエリートと英語で渡り合えるレベルになりたい」と願っている方が、大多数だと思います。
そういう人たちは、英語の語彙を増やすのに、単語帳で必死に覚えたり、いろんな暗記法を試したりされるかもしれません。間違いではありませんが、難しい言葉をたくさん覚える必要は、ありません。
はっきり言って、中学生レベルの単語を、しっかり覚えるだけで充分。それでエリートと呼ばれる海外のビジネスパーソンと、まったく問題なく仕事できます。
私はいま国内の某企業に勤める会社員で、海外部門を担当しています。ほぼ毎日、英語ネイティブ・非ネイティブの取引先の担当者たちと、オンラインや対面で商談をしています。
もちろん話す言葉は、すべて英語。いわゆる「英語で働いている」日本人ビジネスパーソンのひとりです。そんななか、海外の非ネイティブエリートたちとたくさん仕事をしているうちに、明確に気づきました。
できる人はみんな英単語の語彙量が多いのではなく、シンプルで少ない単語を使いこなし、伝えたいことを伝えるのが上手い。むしろ簡単な単語で、会話を組み立てていくのがグローバルビジネスではスタンダードであり、クールな印象を持たれています。
「簡単な多義語」を使いこなすのがセンスの見せどころ
簡単な英単語の多くは多義語です。ひとつの単語で、ふたつ以上の意味を持ちます。日本語でも、例えば「もつ」という単語には「所有する」「(使用期限まで)使える」「(我慢して)耐えられる」など、いくつもの意味が含まれていますよね。そのように文章へ組み入れたとき、それぞれ違う意味を表す、一語で複数の使い方ができる単語を多義語と言います。
日本語だと漢字を当てたり、また発音するときに微妙にニュアンスを変えたりするため、多義語の意味を取りやすい面もありますが、英語の単語は基本的に、文字も発音も同じです。
使い分けるのに、最初はちょっと苦労するかもしれませんが、だからこそ面白い。勉強しがいのある特徴ですし、簡単な単語のいくつも重なる意味を適切にさばき、会話の意味につなげていくところが、英会話のセンスの見せどころと言えます。
この応用力が、非ネイティブのエリートはとても高いのです。難しい英単語をたくさん覚えるよりも(基本は学習していますが)、簡単な多義語を上手く会話にちりばめることで、コミュニケーションの精度を高めています。