三流の韓流ドラマのよう

「光る君へ」では、ちょうどまひろが旅に出て、大宰府に下ったところで刀伊の入寇に遭遇するようだ。しかも、そこにはまひろが越前で出会った見習い医師の周明(松下洸平)がいれば、娘のかたこをふって大宰府にきた双寿丸もいる。ここまで偶然を重ねると、三流の韓流ドラマのようで、もう少し自然ななりゆきのほうがよかったのではないか、と突っ込みも入れたくなる。

それはともかく、隆家が大宰府にいたおかげで、刀伊の入寇を撃退することができたわけで、もし異賊の上陸を許していたら、九州のみならず、中央の宮廷に甚大な影響が生じた恐れがある。むろん、道長が築いてきた自身およびその血縁による支配体制も、大きなダメージを受けた可能性がある。

その意味で、「光る君へ」で安倍晴明がいった「隆家様はあなた様(道長)の強いお力となりまする」は、20年の時を経てたしかに実現した。

その後、隆家は長暦元年(1037)からふたたび大宰権帥を務めた。長久5年(1044)正月、66歳で亡くなったが、その家系は明治維新まで続いた。武功は必ずしも出世にはつながらなかったが、血脈は安泰となったのである。

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