67歳にして絵本作家デビューは近い
モリオ。これが童話作家としての私のペンネームだ。
名づけ親は林真理子さん。私のラジオに林さんをお招きした際、童話を書いているという話をしたところ、「どんどんお書きなさい」という言葉と共にペンネームを授けてくださったのだ。
プロとして認められたわけではないが、認められたような気がして妙に嬉しかったのを覚えている。童話を書きたいと思ったのは、経済の本を何冊出しても売れるのは最初の数カ月だけだと虚しさを覚えたからだ。
もっとも経済の話は旬のネタを求められるので腐りやすいという性質がある。
しかし童話なら経済の話であっても普遍的なテーマを取り上げることができるということで、打倒イソップを掲げて、新しい寓話を創作することにした。
ところが経済の本はいくらでも企画が通るのに、童話を書きたいと伝えると編集者の顔が曇る。
いいところまで進んでも出版にこぎつけずに頓挫するといったことを繰り返していた。そこで、当時連載していた神戸新聞の記事を強引に童話化してみたのだが、一回で連載は打ち切りになってしまった。次に自分の経済に関する本のあとがきを童話にしたのだが、一向に話題にならない。
しかし私は次なる手を思いついた。
『がん闘病日記』(発行・三五館シンシャ、発売・フォレスト出版)に渾身の自信作『星の砂』を含めた6作を載せてほしいと頼んだのだ。
そして再び閃いた。本書でも新作寓話を紹介しようと。
自画自賛だが、『クラゲとペンギン』は実にいい話だと思っている。
こうした努力が実を結び、いま私の絵本は出版に向けて着々と準備が進んでいる。67歳にして絵本作家デビューは近いのだ。