子どもが好きなことをするのに制限をかけてはいけない

発達障害の支援施設の人から聞いた、こんなお話があります。ゲームが大好きな発達障害の方から、「親にゲームすることを禁止されていて辛い」と相談を受けたので、保護者の方に思う存分ゲームを楽しませてあげるように伝えました。すると、ゲームを通してパソコンも使いこなせるようになり、最終的にプログラミングの仕事ができるまでになったそうです。

「好きこそものの上手なれ」とは言いますが、発達障害の人たちが「好き」を追いかけるとき、他の人の何倍ものエネルギーが注ぎこまれます。マニアックなあなたの知識は、ときに誰かの役に立ちます。人の心を動かすこともあるでしょう。好きなものがあったら、誰に遠慮することもありません。マニアックに追いかけてください。

発達障害を持つ私たちは、注意力散漫であちこちに思考が飛び散るという特性がある一方、何かに没頭すると周りの声がまったく聞こえなくなるほど集中してしまう「過集中」という特性を持ち合わせていることが多いです。そして過集中は、今それをする必要のないことにも、自分の意思とは関係なく発動してしまいます。

ついこの間、私は「ハダカデバネズミ」というネズミがこの世に存在していることをはじめて知りました。ハダカデバネズミは、哺乳類で唯一コロニーを作って、蜂や蟻と同じようなシステムの階級制度で暮らしているらしいのです。

それを聞いてから、ハダカデバネズミのことが気になって気になって仕方なくなり、気づけば5時間も調べていました。ふと我に返ったら、もう夜中の3時。翌日は5時起きだというのに、ひたすら調べ続けていたのです。

写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです

ゲーム感覚で「過集中」をコントロールする

しかし、この困った特性である過集中は、人生においての重要な場面で、何度も私を助けてくれました。テスト勉強は過集中で乗りきってきましたし、受験時には毎日12時間も勉強し、偏差値を1年で40から70まで上げることに成功しました。

中村郁著『発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術』(かんき出版)

この一長一短である「過集中」を自分でコントロールして、必要なときに発動させることはできないかと常々思っていましたが、ついに私はその方法を見つけたのです!

例えば、今から資料作成をするとしましょう。そうしたら、大体これくらいはかかるだろうなと思われる時間よりも、少し短い時間でタイマーをセットします。そして、「よーいスタート!」。こうしてはじめた資料作成は、タイマーをかけずに普通にやるより、はるかに早く終わります。

タイマーをかけている以上、時間内に終わらせたいというゲーム性を帯びてきます。結果、資料作成をしている間、他のことを考える余地がなくなります。誰が話しかけても答えないくらいの過集中状態に自らを追い込むことができるのです。

さあ! 今すぐあなたもタイマーを用意してください。ゲーム感覚で目の前の仕事をマッハのスピードで片付けていきましょう。

関連記事
【第1回】たった5分で効果を実感できる…片付けが苦手すぎる発達障害の女性が編み出した"日本一意識が低い"片付け法
「自分はダメ人間だ」と思ってほしくない…発達障害の息子に父が毎日している"自己肯定感を上げる声かけ"
「天才だから」ではない…1日1時間の勉強で、東大に合格した高校生が机に向かう30分前に必ずやっていたこと
それは発達障害ではない…「ミスが多い」「空気が読めない」人間関係のトラブルを作り出す意外な要因
「しっかりノートをとり、メモを習慣化」はほぼ無意味…仕事のデキる人がやる「世間の常識」を覆す仕事術