人に動いてほしいのなら、相手に思いきり期待をかける

さらに1年後には、もう一度同じスポーツ能力測定をしました。

その結果を見ると、お母さんが親バカ気味で、「うちの子はスポーツ万能」と思い込んでいればいるほど、子どものスポーツ能力は高く、その1年後のテストではさらにその能力が伸びていることもわかりました。

親の思い込みは、子どもの能力の成長に大きな影響を与えているのです。

このような現象を、心理学では、「期待効果」や「ピグマリオン効果」と呼んでいます。親が大きな期待を持てば持つほど、子どもはその期待通りに伸びていくのです。

「あなたは、本当に天才!」と親に手放しでホメられると、たいていの子ども、特に思春期の子どもは、「ちょっとやめてよ、お母さん!」などと恥ずかしがって自分の親をたしなめたりするかもしれませんが、せっかく親が過大評価してくれているのですから、ありがたくその過大評価を受け入れるのが正解です。

子どもに限らず、人に動いてほしいのなら、相手に思いきり期待をかけてあげましょう。そうすれば相手はこちらが望んだ方向に向かってくれます。

一人でできないなら、グループで行動する

人間は弱い生きものです。一人では、そんなに力は出せません。

というわけで、部下を動かすときには、一人にやらせるのではなく、他の人たちにも声をかけ、グループやチームでやらせてみるのもいいでしょう。

そのほうが目標を達成できる可能性が高まります。

英国マンチェスター大学のトレーシー・エプトンは、目標を達成するのにどういうやり方が効果的なのかを検証した論文を141本も集めて、メタ分析という統計手法で総合的な結論を出してみました。

その結果、個人でなくグループで取り組んだほうが目標を達成するのに効果的であることがわかったのです。

仕事をするときには、グループでやったほうが楽しく取り組めますし、生産性もアップします。

勉強するときもそうで、一人ではすぐに飽きてしまうものですが、みんなで一緒に頑張るのなら、手も抜けません。みんなが頑張っているのに、自分だけは漫画を読むというわけにはいきませんよね。

運動もそうですね。スポーツジムに通うと決めたのなら、友人や家族も誘って行きましょう。

自分一人でジムに通おうとしても、「今日は雨が降っているからいいか」とか「今日は仕事が忙しかったから」などと、いろいろな理由をつけてそのうちにジムに通わなくなってしまいます。

でも、だれかと一緒だと思うと自分だけサボるわけにはいかなくなるものです。