100歳になってもスマホを使いこなせる

高齢者心理学を専門とし、権藤教授とともに長年調査を続ける東京都健康長寿医療センターの増井幸恵研究員は「高齢になるほど“幸せの種探し”がうまくなる」と笑う。幸せの感じ方は本人の性格によっても変わる。そして性格は寿命にも関係するという。その人の行動を形作るものだからだ。

人の性格を調べる方法として「NEO性格検査」がある。性格を5つの側面――誠実性、開放性(好奇心旺盛)、外向性(社会的)、調和性(思いやり、周囲に合わせる)、神経症傾向(不安感)に分けて評価するのだ。

増井研究員が百寿者の性格を調べると、国内では「男性は開放性が高く、女性は外向性、開放性、誠実性が高い」という結果が得られた。

「開放性が高い人は好奇心旺盛に新しいものを自分に取り入れていける特徴があります。流行の移り変わりが早い現代で最新機器を勉強したり、若い世代の文化を知って幅広い世代と交流するなど、時代の流れに適応しようとする人のほうが最終的には楽しい暮らしができるでしょう。私がお会いした百寿者ではスマートフォンを使いこなす男性もいました」(増井研究員)

開放性のほか、世界中の多くの研究から「誠実性」も健康長寿に重要な要素とされている。「誠実性とはドラッグや過度な飲酒など法令違反や危険なことをせず、人との約束を遵守して、自分が決めたことを続ける、自己鍛練の意味合いが強いです」(同)